最後のマルチーズ

 今日も秋晴れの空
田んぼは赤トンボの群れでいっぱいだろう

くぅさんが大好きな庭に出てゆったりするのにちょうど良い季節だ

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夏と秋の間の明け方

我が家の最後のマルチーズ　くぅさんが明けの明星とともに

あむと大の待つ虹の橋へ旅立ちました

前日の午後3時頃１度目の発作があり、激しいひきつけと脱糞
そして虚脱

意識のない体を抱き上げて、かあさんはパニックになった

くぅの名前を叫びながらも獣医さんの発作の時動かしてはいけないという言葉を思い出した

だいじょうぶ、心臓はちゃんと動いている
そっと寝かせて酸素マスクを鼻先につけて、くぅちゃん、戻ってきて…と耳元で祈るばかり

１分だったのか、５分だったのか、長かったのか短かったのか分からないけど
くぅちゃんが目を開けた

よかった！戻ってきた…

くぅちゃんの体に触れないように脱糞の始末をしつつ、そのときが近づいているかも…とも思った

でもでも、くぅちゃんは強い子！！

一度よみがえったことがあるんだ！
パンパンに大きくなった心臓と頬にできた腫瘍にもここまで持ちこたえてきたんだ！

酸素室にしばらく入っていると、何度か立ち上がることもでき
大好きなヤギミルクだけはゴクゴク飲む

とはいえ予断を許さない状況には変わりない

酸素室にしばらく入ってちょっと楽になると
出たい、出たいの繰り返し

午後11時半ごろ、2度目の発作

またも嘔吐と脱糞、ひきつけ…
もう酸素もほとんど効き目がない

呼吸も浅く、もうろうとしているくぅちゃん
でも頑張り屋のこの子は
もしかしたら　まだ生きる力が残っているかもしれない
寝たきりになっても、この子が生きようとしているなら
最後まで一緒にいてやりたい…

もう冷たくなりがちなくぅの手を握りながら、そんなことを考えていた

明け方4時半

３度目の発作

またも嘔吐と脱糞
ひきつけを起こしながら、徐々に呼吸が弱くなっていく
心臓が不規則に痙攣するように動く

痛いね、苦しいね、
よくがんばったよ　くぅちゃん、行きたかったら
もう　あむちゃんたちの所へ行ってもいいんだよ…

そして静かに大切な命が終わった

くぅちゃん、最後にかあさんの顔　見えてた？

くぅちゃん、長い間そばにいてくれたね
１６年間、いっぱい癒しと幸せをありがとう

くぅちゃんのおかげで幸せな時間を過ごせたよ
ほんとうに楽しかった

これからも　ずっとかあさんのそばにいてね

かわいい、かわいい　くぅちゃん

いい子だったね

合掌