大ちゃんは体育会系

 あむが逝って2年
ようやく あむのいない、くぅと大の2匹との生活になじんできたところだった

くしくも あむと同じ日が命日になった大ちゃん

大ちゃんって子は、わりと子供たちに無関心な父と、一緒に遊んでくれるけど興奮しがちで自己主張の激しい母に囲まれて、子どもの心のまま 体だけ大きくなったような子だった

弱虫で すぐ吠え掛かるし、人にはなかなか抱っこされず すぐ逃げまわる子

兄弟の中でも一番の興奮屋で何をするにも力いっぱいの子だったけど、でも 性格は超真面目
律義で 素直で いい子だった



私に怒られると なぜ怒られるのかは分からないけど本当に申し訳ない!って顔をして、どうしようどうしようって感じだった
留守番中も あむやくぅと違って、律義に玄関に向かっておすわりして待っていたね

でも一応は信頼してくれていたのか、あきらめが早いのか、お手入れもシャンプーも薬を塗るのも、必死に逃げ回るくせに、一度捕まったら全く抵抗しないで何でもさせてくれるイイ子だった
ひとことで言えば 体育会系だったのかな

甘えん坊で頑固な父と自己主張の強い母に囲まれて 自分の立場をとてもよくわきまえていた

あむやくぅが私になついているときは絶対自分は後ろに下がるし、自分から抱っこして!とは言わなかったし、元気なころは抱っこが好きじゃなかったのか、甘え方がよく分からなかったのか、遠慮してたのか?
あむやくぅは、呼べばすぐ目の前まで来るのに、大ちゃんは近くまで来るけど1mほどまでしか近づかないし、マテ!をすると私の目を見ながらどんどん後ろへ・・
耳の後ろや頭をもみもみすると、気持ちいいのか もっとして!なのか、股の間にどんどん頭を垂れていく
教えてもいないのに あむと同じだったよね

くぅお母ちゃんが恐くて大回りしてトイレに行ったり・・これも あむと同じ
自分が一番下なのを分かっているからいつも父母の後ろにいて、顔色(犬色?)伺ってたの、知っていたよ

そんな大ちゃんが けなげで、かわいくて、大好きだった
素直で、我慢強い大ちゃん

寝るときも一番近くにくっついてくるあむと お腹や背中にくっついてくるくぅのそばには近づかないで いつも足元に寝ていたよね
でも最後のころはやっぱり甘えたかったのか くぅと反対側にくっついてきた
眠ってしまったら まるで猫団子のようにビッタリ体をくっつける
子犬のころ兄弟とくっついて寝ていたようにね
ホントは甘えんぼなのに、我慢していたんだね
くぅに遠慮しないで もっと甘えてきてよかったんだよ

ひとり(1匹)だったら、もっとたくさん抱っこしてあげていただろうに・・
反省することばかりだ

家に着くと 鍵を開ける音に反応して外まで聞こえる声で吠えていたのに、もう その声も聞こえない
玄関で立ち上がってぴょんぴょんしながら出迎えてくれたのも うれしかった
やっと帰ってきたー!どこ行ってたのー?なんでボクをおいていくのー!
あむも同じ事してたなぁ



あむは親友というか相棒というか同士というか そんな感じだったけど、
大ちゃんは私にとっては体だけ大きな小心者の世話の焼ける我が子みたいな感じだった
外界のことは何も知らない無垢な子どもみたいな
よその人にも よその犬にも どう接していいのか分からない
みんな仲間だということが 父母とともに過ごしたせいで分からなかったのかもしれない
家と家族だけが大の世界のすべてだったんだと思う
まるで日本犬みたいだ

私は大ちゃんの 一途でけなげで悪気のない純粋なところが大好きだった
でも だからこそ他の人や犬に迷惑をかけたこともあって、叱ってばかりいた
大ちゃんは なんで叱られるのか理解できなかったに違いない


膿皮症でカユカユが始まると舐めていて、膿皮症も悪化するし咳も出るから 舐めたらダメ!って叱ってばかりいてゴメンね
舐めると怒られるので、しまいには私と目が合っただけでフリーズしてた
消毒もシャンプーもイヤなのに黙ってさせてくれて、えらかったよ、がんばってたよね!
かゆいんならしょうがない、代わりに掻いてあげるから舐めないでって、きれいに拭いて手で掻いてあげると やっと満足してた
初めからそうしてあげればよかったのに、大の気持ちになってあげられなかったママが悪かったね
元気なくなってからは ナメナメする気力もなかったのかな

気力体力の限界まで がんばっていた大ちゃん
ダメなママでごめんね


生まれてからひとりになったことがなかった大ちゃんは ひとりになるのが嫌で、くぅママよりも先にあむパパのところへいったんだね
私は もしくぅが先に旅立ったら 大ちゃんひとりになって大丈夫だろうかと心配したものだが、そうなっていたら大ちゃんはそれなりに穏やかな余生を送れていたのかもしれないと、今は思う
大ちゃんの行動は、落ち着きのない母なるくぅの真似だったから・・
もし、ひとりになったら 残りの犬生を本当の大ちゃんらしく生きたのかもしれないと

みんな私を救ってくれる大切な存在だけど、あむとも くぅとも違う、大ちゃんに対する思いは・・
なんと表現したらいいのか・・不思議だけど、
子を持ったことがない私には想像にすぎないが もし自分に子どもがいたら、ダメな我が子のような、孫のような存在に思えた
うちで生まれた子だからかな(産んだのは くぅさんだけど)


でも そんなこと当然 大ちゃんは知る由もなく
ふいに消えてしまった


今でも どこかに隠れて丸くなっているような気がする


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